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血流制限

血流制限と伝統的な理学療法の違いとは?

『血流制限』は、私たちが知っているリハビリの概念を変えました。

血流制限をリハビリ患者さんに使用することで、より早い段階で組織を保護しながら、組織にストレスを与えることができます。これにより、患者さんはより早くリハビリを行い、より良い成果を得ることができるのです。

従来の理学療法はどのように機能するのか?

従来の理学療法は、典型的には怪我や手術後の機能的能力を回復・向上させることを目的としています。

機能的能力とは、簡潔に表現するとあなたの身体が物理的に実行可能なことです。

定期的な運動やトレーニングは、機能的能力を向上させるために行われます。理学療法も同様ですが、完全なリハビリを遂行するために、負傷/回復途上の身体の部分を尊重し、特別な注意と繊細さが必要とされます。従来の理学療法になぜ限界があるのかをよりよく理解するためには、怪我についてよりよく理解する必要があります。

怪我はどのように起こるのか?

怪我を理解する最も簡単な方法は、外的要求と機能的能力の関係に注目することです。外的な要求が身体の機能的な能力を上回ると、組織に障害が発生することがあります。

組織が破壊されると、過度の機械的ストレスにさらされ、筋断裂、腱・靭帯断裂、骨折など、さまざまな傷害を引き起こす可能性があります。

そして残念なことに、怪我をすると、組織の機能的な能力は著しく低下してしまいます。

そこで、理学療法・リハビリの出番となるわけです。理学療法では、損傷した組織を保護するために、細心の注意と細部へのこだわりが必要です。その一方で、組織の機能的能力を高めるために、慎重に少しずつストレスを与えていきます。最終的な目標は、組織の機能的能力を向上させ、少なくともベースラインまで回復させることですが、理想的には、同じ怪我(または他の怪我)が再び起こるリスクを少なくするために、ベースラインよりもさらに大きく回復させることです。

なぜ傷害はそのままでは治療が困難なのか?機械的ストレスの問題

ほとんどのケガでは、リハビリの一環として、筋肉の改善に重点を置くことが常です。研究により、筋肥大(筋肉を大きくすること)はストレスに反応して起こることが分かっています。ストレスには大きく分けて2種類あり、機械的ストレスと代謝性ストレスがあります。

従来のリハビリは、一般的に抵抗バンドや重りを使った治療的エクササイズを行い、組織に要求を課す機械的負荷をかけます。しかし、損傷した組織は機械的負荷に対して非常に敏感であるため、リハビリは本当に難しく、困難なものである場合があります。

機械的負荷が大きすぎたり、運動量が多すぎたりすると(セット数やレップ数が多すぎる)、患者さんは過度の痛みを抱えることになり、リハビリ以外の生活を送ることが難しくなる場合があります。もし、患者さんが損傷した組織に本当に挑戦するようなリハビリ運動や、必要な総運動量に耐えられないとしたら、損傷した組織の能力を高めるための最適なストレスが十分でない可能性があります。その結果、リハビリの成果が上がらず、患者さんの不満が募り、まだ治療が必要なのに、保険会社の規定でリハビリを受けられなくなるのです。(*訳注:米国での環境です)

そこで問題は、過度な機械的負荷や運動量をかけずに、どのように損傷した組織に働きかけるかということです。

血流制限による傷害の治療 – 代謝性ストレスの最大化

機械的ストレスに耐えられない場合、筋肉を改善するために代謝性ストレスに目を向けることができます。

では、代謝ストレスとは何でしょうか?それは、長時間激しく運動したときに感じる、激しい筋肉の熱感のことです。しかし、やはりケガの治療でよくある問題は、代謝ストレスを引き起こすために必要な過剰な運動量に患者が耐えられないことです。そこで血流制限は、最小限の運動量で代謝ストレスを引き起こすことができるため、従来の理学療法と比較して優れているのです。

Ozakiらの論文(2015年)によると、代謝ストレスを介した筋肉の肥大効果は、運動と血流制限を組み合わせることで著しく増幅されるとのことです。

血流制限の真の素晴らしさは、本当に低い機械的負荷(1RM20%という低負荷)で運動しても、筋肥大を誘発できることです。また、血流制限は血流の制限により筋の酸素要求量が増加するため代謝ストレスが比較的早く発生し、筋肉が短時間で酷使されるため疲労の発生が早くなるため、運動量がそれほど必要ないのが最大の魅力です。疲労が早く出るということは、総運動量が少なくて済むということであり、患者さんにとっては、より早く結果が出るということになります。

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References

  1. Ozaki H, Loenneke JP, Buckner SL, Abe T (2016) Muscle growth across a variety of exercise modalities and intensities: contributions of mechanical and metabolic stimuli. Med Hypotheses 88:22–26. doi:10.1016/j.mehy.2015.12.026
  2. Fry CS, Glynn EL, Drummond MJ, Timmerman KL, Fujita S, et al. Blood flow restriction exercise stimulates mTORC1 signaling and muscle protein synthesis in older men. J Appl Physiol.
  3. Centner C, Lauber B, Seynnes OR, et al. Low-load blood flow restriction training induces similar morphological and mechanical Achilles tendon adaptations compared to high-load resistance training. J Appl Physiol. November 2019. doi:10.1152/japplphysiol.00602.2019
  4. Bittar ST, Pfeifer PS, Santos HH, Cirilo-Sousa MS (2018) Efects of blood fow restriction exercises on bone metabolism: a systematic review. Clin Physiol Funct Imaging. https://doi.org/10.1111/ cpf.12512